糖尿病
2010年03月27日
~身近になった糖尿病~
糖尿病について正しい知識を持とう!
糖尿病は、生活習慣が大きく影響する病気、とわかっていても普段の生活習慣はそう簡単に正せるものではありま
せん。糖尿治療の近道やうまい話はありませんが、正しい知識で過ごしていかないと、たいへんな事になってからで
は遅すぎます。自分の体は自分で守る気になるお話をしましょう。
うまい話には気をつけよう!低インスリンダイエット
患者さんから、”低インスリンダイエット”がいいそうですね。とき聞かれる事があります。
本も出ているようですが、「好きなだけ食べて、運動もいらない、リバウンドもしない、楽にやせられる」究極のダイエッ
トなどと書いてあるようです。食後血糖を上げる糖質の摂取を減らし、そのかわり、肉や牛乳、魚などはいくら食べても
かまわない、さらに運動も不必要という”おいしい”話は、GI(glysemic index)が曲解されて出てきた話です。
GI値は炭水化物に含まれている糖質の量をもとに血糖値の上昇率を計算したものです。確かに炭水化物はGI値が
高く、血糖値は上昇しやすく、蛋白質はGI値が低く血糖が上昇しにくいかもしれません。
しかし、炭水化物のみならず、蛋白質や脂肪も強力なインスリン刺激作用があります。またグルカゴンという血糖上
昇ホルモンを刺激し、肝臓からブドウ糖を放出させます。糖質だけ食べなければいいではなく、一日30品目、バランス
よく摂取、運動といった基本をしっかりするのが正解です。
糖尿病は「運動不足病」
運動、特に歩行して数分経つと、筋肉のグリコーゲンが減少し、血液からブドウ糖を借りてくるので血糖が下降しま
す。運動後は使い果たした筋肉のグリコーゲンの再補充のためブドウ糖が再び取り込まれ、血糖は尚、低下を維持し
ます。この効果は運動の強さにもよりますが、1~2日間持続します。このためにはやや早めの20分以上の運動が必
要です。
また食後30分ほどからの運動が最適と言われます。歩行など有酸素運動だけでなく、レジスタンス運動でも効果は
あります。
タバコと糖尿病との関係は?
タバコと吸うとやせて、禁煙すると太るのは経験的に翌知られており、論文でも発表されています。喫煙習慣は体重
を減らすので、糖尿病を予防することになるはずという理屈でタバコを吸い続けているヒトも多いのではないでしょう
か?
実際は、そうではありません。16年間に渡り日本人とタバコの関係を研究してきたグループによれば、喫煙者は非喫
煙者より1.47倍も糖尿病になりやすいのです。
また本数や喫煙年数との関連も明らかで、長期間、大量に吸うほど糖尿病を発症しやすくなります。タバコのニコチ
ンや一酸化炭素がインスリン感受性を低下させるためといわれています。
糖尿病でも頑張ったヒト
ゲーリー・ホール・ジュニアは世界記録保持者の父を持つ水泳選手です。シドニーオリンピックを目前にして糖尿病
(I型)を発症した彼は、一日10回も自分で血糖を測定しインスリン注射をしながら、男子水泳50m自由形で見事、金メ
ダルに輝きました。