新・プラタナス No114
2011年04月03日
「新たな価値観で」
一昨年、同じテーマで巻頭言を書きました。今、新たな気持ちで同じテーマを選びます。あの頃、人の価値観は容易には変わるものではないと思っていましたが、このたびの大災害を経験し、日本人の価値観はあっという間に変わりました。
未曾有の大地震と大津波。一生のうちにほとんど経験することもないような大災害を目の当たりにして茫然自失。家族や同僚を亡くされた方、家や地域社会そのものを失ってしまった方には心からお見舞い申し上げます。しかし、とてつもない不幸から負けないで立ち上がる人々、苦しくても感謝の気持ちを忘れない人々。見ていて涙が出ますが、同情を超えて逆にこちらが勇気づけられます。
大きな被災を免れた我々にできることは、物を大事にすること。電気や水道、ガス、灯油、ガソリン。ふだんそこにあって当たり前のものが、実に多くの人々に支えられていること、いかにこれまで無駄遣いしていたかに気づかされました。
便利さばかり追求し思いやりの心を失いつつあった日本人。大切な何かを取り戻すきっかけになればよい。そして、これからが大変な道のりを残す多くの人々のことを忘れないこと。
多くの尊い犠牲を決して無駄にしてはいけないと思います。
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