高齢化時代の医療~どのような医療になるのか

地域医療構想が2025年問題を前に策定されています。団塊の世代が大挙して後期高齢者となる時代、生産年齢人口は減少し高齢者が圧倒的に増加する時代、医療はどうあるべきかを、真剣に検討するべき時でしょう。
山形県ではこの構想を受けて10年後に入院病床を約2500床ほど減らす予定です。この中には高齢者の療養病床160床も含まれます。つまり具合が悪くても高齢者は入院ではなく在宅療養を強いられることになります。そして在宅療養=往診の需要が山形県全体で1日あたり1030人増えるだろうといわれています。開業医が在宅医療を相当頑張らないと実現が困難な数字です。

急性期病院から回復期病院を経て在宅へ戻る。在宅では必要に応じて訪問診療や訪問看護、まだ訪問介護やデイサービス、ショートステイを利用し時にはレスパイト入院をしながら、悪化の際にはすぐ急性期病院を利用できる体制をとる~これらをスムースに適切に行っていくことが理想ですが—。
それにはマネージメントするケアマネさんの能力と努力が大事です。
どのような医療介護のサービスが適切で必要なものか、患者の状態の把握と家族のキーパーソンとの相談・交渉も必要です。

住み慣れた町で住み慣れた環境でできるだけ長く暮らすのは理想ではありますが、現実はそう甘くなく、高齢者夫婦の家族が老々介護を行っていたり、配偶者が認知症でありパートナーが必死の思いで在宅介護を続けている認々介護も多く見受けられます。これら高齢者の子息たちは、離れて暮らしている場合も多く、まして若い夫婦でも共働きで介護力としてはあてにできないことも多いようです。子育て世代は経済的にも余裕がない人たちが多いのです。さらに最近は離婚により母子家庭、父子家庭も増えており経済的に苦しく、貧困といってもおかしくない生活を送っています。
これらを考慮すれば、国が提唱する「地域で支える社会」といってもできることには限界があることを認識してほしいと思わざるをえません。